ハチミツについて深く考えたことありますか?働き蜂が花から蜜を取っときて、巣に集める、甘くて美味しいやつ。トーストに塗るのが好き、ヨーグルトに入れるのも。そのくらいの知識だったハチミツ、ある仕事を頂いたことで掘り下げる機会に出会いました。
私の仕事は、「宮崎県産 日本蜜蜂 生ハチミツ」という商品があり、そのハチミツがどこからはじまって、どんなもので、何が含まれていて、他のハチミツと何が違っていて、なぜこれを選ぶべきなのか。この商品を手に取った人や、これから手にとるかもしれない人達に伝える文章を書くことでした。
今回取り扱った「日本蜜蜂のハチミツ」は、標高が高く、豊かな自然と水が生きる九州の山奥から集められています。大自然のなかで生息する野生の日本蜜蜂たちを宮崎県で養蜂し、その過程で不純物は含まれておらず、自然のまま採られています。
このハチミツを養蜂しているのは、「はちみつじろう」と呼ばれる不思議な男で、今回の私のクライアントです。
こだわって作っている蜂蜜だけに、じろうくんの「伝えたい」ということはとても深く、本質的で、壮大な話。これを、消費者向けにまとめるため、まずは、本を読んだり、ネットで情報収集したりすることから始め、はちみつについて学びました。
調べていくうちにわかってきたのは、ハチミツというものの可能性、ミツバチという生物がどれだけ地球の循環と生命に貢献しているかということです。
納品した、私なりにわかりやすくまとめた文章は以下です。
西洋ミツバチと日本ミツバチ
蜂は水源の微生物を探すプロです。産地の土壌や水源、その土地に咲く花々から蜜を集めるため、はちみつの成分は環境によって変化します。
日本ミツバチが作るはちみつの特徴は、四季を問わず採蜜・受粉する点にあります。四季折々の花や高山植物など小さな花々まで、1年以上かけて様々な種から集めた蜜はじっくり発酵されます。
西洋ミツバチの場合、日本の自然で人の手を借りなければ生き残れず、2週間〜数ヶ月の間に採られる花の種に限られるため、レンゲなど単一の蜜がメインになり、発酵も日本ミツバチと比べ未熟です。
甘くて美味しい以上の味わい
はちみつが世間で、単なる「お砂糖代わり」のような存在になりかけた理由は、純粋ではない加工はちみつが大量に出回ったことが理由かもしれません。
あまり知られていませんが、はちみつは微生物の集合体、“生きている”という状態をキープした「発酵食品」です。
産地によって成分は異なりますが、ビタミン・ミネラル・酵素・アミノ酸・抗酸化物など、多くの栄養素が体に吸収されやすい形で含まれています。
甘くて美味しいだけじゃありません。
80年以上前からはちみつは「薬」として重宝されていたという歴史があり、現在まで研究が続けられてきました。
はちみつの持つパワーとその効果は科学的データに基づいて証明され、医療の現場でも使われてきています。
この蜂蜜は、あなたと家族の健康を支えるサプリメントになれるかもしれません。また、保存が効くということから、災害時などの栄養補給にも役立ちます。
”小さじ1杯のはちみつで、受粉される草花。
日本ミツバチ1匹が一生かけて集める蜂蜜はスプーン小さじ1杯ほど。たった小さじ1杯を集めることで受粉される草花や樹木の花は、その何倍にも及びます。
古来種である日本ミツバチは2000年以上前から日本の花を受粉して増やし、在来種を守り、新種の花を増やしてきました。しかし今、日本ミツバチに限らず世界中でミツバチの生息数は減少しています。
“もしハチが地球上からいなくなると、人間は4年以上は生きられない。”とも言われています。ミツバチが蜜を集め植物の受粉を助けることで、私たちの食べている野菜や果物を実らせているということは自然のサイクルであり、事実です。
” 本物のはちみつを選ぶということ。
日本で消費されるはちみつの多くは加工されたものです。加工とは、大量生産や製品化を急ぐための加工のことです。
製品化を急ぐあまり自然の摂理を待たずに収穫された完成していないハチミツは水っぽく、水分を飛ばすために加熱した「加熱はちみつ」や濃度を上げるために水あめを添加した「加糖はちみつ」などがあります。
これによって、本来のはちみつが持つ栄養価は失われます。加工に伴って消費されるエネルギーがもたらす環境へのリスクや、環境の変化によるミツバチへの負担も考えられます。
では、本物の天然はちみつとは何か?それは、自然の摂理で時間をかけて作られ、そのエネルギーを損なわない方法で丁寧に濾過されたものです。
野菜や米でも言えることですが、はちみつも土壌や水源の環境に影響を受けます。 自然を意識し、正しく養蜂されたはちみつを選ぶというあなたの行動は、自然環境やミツバチの保護・増殖をサポートすることに繋がっています。
POWER OF HONEY
じろうくんは、焚き火と温泉と音の鳴る場所によく現れ、だいたいいつもハチミツがたっぷり付いた蜂の巣のカケラをタッパーに入れて持っています。そして、それをみんなに振る舞います。振る舞うのが大好きな人。ハチミツを蜂の巣ごとかじるなんていうことはなかなかありませんが、じろうくんに遭遇したら体験できるかもしれません。
これこそまさに本物のハチミツっていうやつです。キャラメルみたいな歯に詰まるねっとりした食感、噛むと溢れてくる濃厚な生の蜂蜜。蜂の巣をかじった人達は何となくパワーが注入されたような、気分が上がったような感じに見えます。甘いものを食べたときの糖分の摂取による多幸感というか、気持ちが満たされたような感覚と同じで、じろうくんのハチミツに含まれる成分・栄養素がそうさせてるのかもしれません。
“
はちみつじろう
地球規模での循環について。空想なる矛盾を追い求める紙幣社会。アインシュタインはミツバチがいなくなると3年以内に地球は滅びると言った。一口の蜂蜜が美味しいという笑顔と共に、地球と環境を取り戻す行動になるーーーーーーー”
瓶に詰められたハチミツを私たちが口にする前の、はじまりの方まで想像力を膨らませて考えていくと、いろんなことが見えてきます。当たり前ですが、ハチミツの作り方はまず、ミツバチが植物から蜜を集めることからスタートします。
でも、私たちは蜂蜜を食べる時、そこまで想像していたでしょうか?
ミツバチと植物の関係は、完璧な共存です。植物は時期になると花を咲かせ、花はその甘い蜜でミツバチを誘い、ミツバチは花から花へと渡り蜜を集めることで、植物の受粉を助けています。「ミツバチがいなくなると、地球が滅びる---」アインシュタインが言ったとされる説は、ありえる話かもしれません。植物とミツバチの関係があることによって実る野菜や果物を、私たちは食べて生きています。
地球規模での循環、空想なる矛盾を追い求める紙幣社会。「本物のはちみつを選ぶ」という一人一人の消費行動が、地球と環境を取り戻す。その考え方は、近年よく使われるようになった「エシカル(倫理的な)消費」と言う考え方そのものです。
なぜエシカル?
自然を意識し、持続可能な方法で正しく養蜂されたハチミツを選ぶという行動が、自然環境やミツバチの保護・増殖をサポートすることに繋がります。
しかも、上質なハチミツはただ美味しいだけじゃありません。先に説明したように、ビタミン・ミネラル・酵素・アミノ酸・抗酸化物など、多くの栄養素が体に吸収されやすい形で含まれ、炎症を抑えたり、殺菌作用があります。風邪薬や、傷や火傷の治療、マルチビタミン・ミネラルのサプリメントなど、これまで使ってきた「医薬品」の代替え品としての使い方があります。
お砂糖代わりだけじゃない、これがハチミツの可能性。
今回参考にした本「ひとさじのはちみつ」では、家庭医薬品の知恵として、暮らしの中で取り入れらるハチミツの色々な食べ方、使い方が紹介されています。目次を見ただけでも、意外すぎる使い方が載っていてとても面白いです。気になったらぜひ読んでみて!