デザインの仕事をしていると、自分が知らなかったことを学ぶことができる。本物の職人と家のあるべき姿。家を建てようとしたこともなければ、建築について学んだこともない私が、伝統工法によって現代の民家を建てる工務店「建築工房 悠山想」のWEBサイトをデザインすることになり、仕事を進めていくごとに彼らの家に対する情熱と考え方にすごく影響を受けて、家のあり方について自分自身も考えさせられました。
打ち合わせをしに訪れた福岡にある「建築工房 悠山想」。悠山想が建ててきた家を実際に見てまわって、そのドライブの途中で彼らのスタイルについて話した。
今まで家というものに対して、構造を見たり、素材を見たりということをしたことがなかった私にとって、違う感覚と視点で建物を見るのはすごく新鮮。専門的な分野だから細かいところまで理解するのは難しいけど、意識してみると確かに感じる感覚的なものに、後からついてくる説明で一つ一つ納得していく。
靴を脱いで、家の中に入った瞬間の足の裏の感触、空気感、光と陰、風通し、風景を切り取る窓。そう考えると、彼らの建てる家は圧倒的なオーラがあった。
家の構造、土壁の素材、木の種類。なぜこの構造なのか、なぜこれを使うのか、そのひとつひとつの“素材”は、どこから仕入れているのか。どこで、誰が、どうやって作っているか。これは食べ物を選ぶ感覚と似ていて、日々を暮らす家にとって重要なこと。深く考えてみるとそうゆうこと。
木の切り方ひとつにしても、どう切るかで木目が違ってくることや、住む人や場所によって必要な機能も変わってくる。これは、私の役目であるデザインするというプロセスにも通じるものがあった。
悠山想のスタイルは「THE JAPANESE STYLE」日本の伝統を重んじ、現代の様式に当てはめる「温故知新」。地元の素材、地元の職人の技術で建てる事に拘っている。その土地の自然で育つ素材は気候風土に合い、その地域の職人に受け継がれてきた技術には裏付けがある。
全ては、自然の摂理に基づいていて、説明することができる。
悠山想の家づくりは、ハウスメーカーと比べると時間がかかります。 木と土の家づくりには、大工による刻み加工や、左官の土塗り壁など、施工にもある程度の期問が必要です。時間と人の手間をかけてこそ、いい家ができるのです。
悠山想
目指しているのは「現代の民家」です。古い民家は、その地域で手に入る材料で、その地域の職人が、その地域の気候風土にあった家を、年月を経て裏付けされた技術により作ってきました。地元の職人が作るので、顔が見える関係です。
現代は昔と比べて流通技術も発達し、情報があふれており、世界中の材料を使って家を作ることができ、何がよいのか、分がらなくなってきていると思います。しかし、地元の木、土、紙、畳、職人を使うことは、自然にも、住む人にも優しいうえに、荒れた山を支え、手仕事の場が失われている日本の職人の技術を残すことにもつながります。
何でもある、どこからでも手に入る、テンプレートがあってプラモデルみたいに、機械で何でも作れてしまう。どんどんスピードが上がって、丁寧にできなくなって、道具の使い方も忘れてしまって。
窓を開けても季節を感じることはできなくて、癒されたいから家の中で植物を飼う。もはやそんな感じの時代で、悠山想の職人たちのような本物の職人が手応えを持って仕事しているということは、本当に素晴らしいし、大切なことだと思った。
本質がしっかりある、カッコイイってこうゆうことでしょ!江戸時代から建ってる古民家のように、今から100年後に悠山想が建てた家は何世代も受け継がれて生き残っていると思う。それってすごくない?余裕のオーラで100年もつ家、気になった方はぜひご覧ください!